「ものづくり」作家を支える 多彩なクラフト展盛況 - 9月3日にJR奈良駅前で「奈良ノ空カラ」開催
奈良の「ものづくり」作家の作品を展示・販売するクラフト展が盛況だ。長年にわたって作家活動を支えてきたイベントや新企画の陶器市など、それぞれ特徴ある取り組みが作家と来場者との交流の輪を広げている。今後の取り組みを紹介する。
JR奈良駅前の屋外クラフト展 きょう9月3日開催
「駅マエクラフト 奈良ノ空カラ(ならのそらから)」(同実行委員会主催)はきょう9月3日午前10時から、奈良市の JR奈良駅東口広場で開催。2015年にスタートした同イベントは年9回ほどのペースで開かれ、今回通算70回を迎える。
陶芸や木工、ガラス、金工、染織などさまざまな分野の作家、職人が計80ブースを出展する。扱うのは、県内作家の工芸作品やハンドメイド作品が中心。県内飲食店による出張ブースや、子供から大人まで楽しめるワークショップコーナーも併設する。
雨天決行。午後6時まで。入場無料。
JR奈良駅前で開催されているクラフト展「駅マエクラフト 奈良ノ空カラ」(工藝舎提供)
2022年度には、奈良市の商業施設「ならファミリー」から打診をうけ、同施設1階・らくだ広場で「奈良ノ空カラ+(プラス)」を出張開催。2023年度も連続開催となり、24名の作家が出展。多くの来場者で賑わいをみせた。
8月26日から2日間開かれた特別企画展「奈良ノ空カラ+(プラス)」の様子=8月26日撮影
奈良発の大規模陶器市 ことし12月開催
「奈良登大路陶器市」は12月1日から3日、奈良市の奈良公園登大路園地と奈良公園バスターミナルの2会場で開催される。出品作家は200組程度を予定しており、奈良県内での大規模な陶器市の開催は初となる。
12月に初開催となる「奈良登大路陶器市」のDM
全国の有名焼き物産地などで開催されている大規模な陶器市だが、奈良時代の「平城京」では全国各地から産物が集められたことから、陶器市のルーツも奈良にあったと想定して企画された。陶芸作家の世界観を個展のように表現できるような構成にし、作家の発表の場となるような運営を目指している。
ガラス工芸作家 堀部伸也さんに聞く
これらのイベントの企画・運営に携わり、全国の若手工芸作家の作品見本市「ちんゆいそだてぐさ」(大和郡山市で毎年5月に開催)なども手掛けているガラス工芸作家・堀部伸也さん=工藝舎(奈良市高天町)代表=にクラフト展にかける思いを聞いた。
堀部さん 「今はSNSでも作品を発表し世界中で見られる時代だが、直に作品を見て触れてこそ伝わるものがある。器の厚みや質感、作家が計算しつくした器の美を手に取って感じてほしい。奈良は文化的にも、モノづくりの力も高いポテンシャルを秘めている。私たちのイベントや活動で、単なる地域活性化ではなく、作家が心血を注いだ作品が認められそれで食べていけるような循環作りをサポートできればと考えている」
大勢の来場者を集める「ちんゆいそだてぐさ」(工藝舎提供)
各クラフト市の概要
◆ちんゆいそだてぐさ(現代工芸フェア・見本市)
専門家もうなる質と規模を誇る、現代工芸の祭典。
工芸のジャンルで広く作品を募り、審査会を経て選び抜かれた作家たちが出品。「いい物」を探しに訪れる工芸ファンのほか、目の肥えた工芸愛好家や収集家、買い付けや作家との交渉を希望するギャラリストも多く来場。工芸をなりわいとする作家たちの活動の道筋を作っている。
開催:年1回(5月)/2013年にスタート、2023年5月で開催11年目
会場:郡山城址(大和郡山市)
規模:作家や飲食、企業ブースも含め130~140組 2日間で全国から3万人以上が来場。
<公式SNS>
◆駅マエクラフト 奈良ノ空カラ(クラフト市)
地元に根付いたアットホームな雰囲気のクラフト市。
駅前開催で、ファミリー層のほか奈良県外からの旅行者や外国人観光客の来場も多い。ここでの出品で試作や実験などを作品に磨きをかけ「ちんゆいそだてぐさ」への出品を叶える作家も。地域の工芸作家にとって登竜門的な役割も受け持つ。
開催:年9回(2、7、8月を除く)/2015年にスタート、今回で開催70回目
会場:JR奈良駅東口広場(奈良市)
規模:作家80~100組
<公式SNS>
◆奈良登大路陶器市(陶器の見本市)
焼物に特化した奈良発で初の大規模陶器市。
開催:年1回(12月)/2023年にスタート(12月1日から3日の3日間)
会場:奈良登大路園地、奈良公園バスターミナル(奈良市)
規模:200組程度(予定)
<公式SNS>