奈良のシカ保護計画で新たなルール 鹿せんべい以外の「エサ」やり抑制
「奈良のシカに与えるエサのルール」を明文化 印刷物で説明、啓発に活用
第12回奈良のシカ保護管理計画検討委員会(委員長・村上興正元京都大学理学研究科講師)が3月24日、奈良市東向中町の県経済倶楽部で開かれ、奈良県が策定した天然記念物「奈良のシカ」保護計画に基づく2023年度実施方針を承認した。新たなルールによる鹿せんべい以外のエサやり抑制や奈良公園平たん部の芝地回復に向けた検討などに取り組む。また、奈良市ニホンジカ第二種特定鳥獣管理計画についても来年度方針を検討、捕獲実施場所に鼓阪地区の追加などを承認した。
ウェブ参加も交えて開かれた奈良のシカ保護管理計画検討委員会=3月24日、奈良市東向中町の県経済倶楽部
天然記念物「奈良のシカ」保護計画は、外国人旅行者の急増など近年の環境変化を踏まえ、奈良のシカ保護を進めるため22年4月に策定。本年度の実施結果では、事務局が、シカによる人身事故やシカ自身の交通事故防止、生息環境の改善などの取り組みを報告した。
また、新年度の実施方針ではエサやりに関して、奈良公園以外から持ち込んだエサを与えてはいけない▽鹿せんべい以外を与えてはいけない―の2点を軸に明文化した「奈良のシカに与えるエサのルール」の策定を決めた。印刷物を示して観光客らにルールを説明、啓発に活用する。またドングリについては、公園内に落ちている物をその場で拾い与えることは認めることも付記する方針。
委員の意見交換では、奈良公園のシカ生息環境改善について、基本的なエサである芝の再生の重要性が指摘されたほか、将来像をしっかり見据えた上で個々の調査などを進めるべきといった意見が出された。