高校生の「鹿」動画、英映画祭で最優秀作品に!
高校生の「鹿」動画、英映画祭で最優秀作品に!
立命館宇治高校3年、藤村芽生さん(17)が奈良公園の鹿に着目した短編フィルム「A Message from Sheeka(邦題:シーカからのメッセージ)」を制作、同作品が自然保護がテーマの短編作品を集めた海外映画祭の学生部門で最優秀作品に選ばれた。
藤村さんは鹿の愛護活動を続ける「鹿サポーターズクラブ」のメンバー。「人と共存する奈良公園の鹿の生態を全世界に広めるきっかけになれば」と受賞の喜びを語った。
映画祭の表彰状を手に「奈良の鹿と一緒に受賞したようなもの」と語る藤村さん=奈良市の奈良公園
鹿サポーターズクラブ高校生会員・藤村芽生さんインタビュー
「動物や自然が好き」で鹿サポート活動をスタート
藤村さんの通う立命館宇治高校のIBコースの学生は、課外活動への参加が必須。先輩が同クラブに所属していたことや、動物や自然保護に興味があったことで自身も参加を決めた。
住まいから奈良公園へはほど近く、昔から身近な場所という。学生生活の合間を縫い、鹿の愛護活動に取り組んでおり、月1回程度のパトロールや、鹿の誤食防止のための美化活動がメイン。
同クラブ事務局のスタッフは「PR用の写真撮影や、観光客に配布する啓発チラシも提案してくれて、頼りになる存在」と太鼓判を押す。
活動の拠点となる鹿サポーターズクラブ=奈良市登大路町
1週間で練り上げたフィルムが最優秀賞に
同作品では、奈良の鹿の生態や一年の暮らし、人と鹿が共生する中での問題点などがテンポよくユニークに描かれている。フィルムの編集、日本語のナレーションに加え、英語字幕もすべて英語が堪能な藤村さんによるもの。
イギリスの自然保護啓発団体conservation optimismが主催する「2022グッドネイチャード映画祭」の作品募集の情報を知ったのは、応募締め切り直前。だが、同クラブに所属して約一年半の活動で撮りためた素材や得た鹿の知識で、元々動画作成の構想をあたためていたという藤村さん。一週間で集中して魅力的な作品を作り上げた。
藤村さんの作品の一場面
国内外に伝えたい、奈良の「人と鹿の共生」のあり方
受賞は最初SNSで知り「びっくり」。オックスフォード大学自然史博物館で先行して上映会が行われた後に、メールで正式に受賞が伝えられた。鹿サポーターズクラブ事務局には、同クラブの会員から「メンバーの作品受賞は励みになる。誇りに思う」と喜びの声が続々寄せられたという。
藤村さんは、日頃の活動の中で知ったことを自分のできる形で表現しただけと謙遜しつつ、「鹿のかわいさだけでなく、生態をきちんと知ってから奈良を訪れることで、人も鹿も安心してより楽しめるはず」と語る。
作品内では、古来から続いてきた、奈良の人と鹿との関係性についても触れられている。
自然保護は自身のライフワーク
今後は自然保護に関連した仕事に就くのが夢で、生物学や昆虫学研究のため海外の進学先も検討しているという藤村さん。
記録のため鹿の生態を撮影をする藤村さん(藤村さん提供)
「今回、鹿とともにある奈良の魅力が海外にも通じると改めて気づかされた。動物保護は自分のライフワークとして、地域に根付いた活動にかかわり続けていきたい」と声を弾ませた。