ずいぶん前に、友人が新婚旅行でニュージーランドの自然歩道を1週間ほどかけて歩いた。歩を進めるごとに変わる風景に飽きない毎日だったとの話をうらやましく聞いた。

　国内にも長距離自然歩道が10路線ある。総延長は計約2万7千キロ。自然を満喫しつつ各地の文化、歴史に触れられ、観光資源にも挙げられる。

　半世紀前に整備された東海自然歩道は東京・高尾山と大阪・箕面を結ぶ約1750キロ。うち奈良は80キロほどで、東部山間や南北古道などを含む。

　自然歩道の魅力を語る雑誌「ロングトレイル」(三栄)第4号は、この道の特集。調査隊の奈良評は曽爾高原～桜井区間が特に旅情に満ち、他の場所と併せ好感度上昇とのことだった。

　滞在せず、素通りでは惜しい場所がいくつもあったとの感想も。県は観光政策を再検討中だが、単独の資源、事業を、歩道を中心に点から面にするのも一考だろう。

　大和郡山市の一行が、領主国替えで金魚がたどった道として山梨・甲府市から地元までの約440キロを歩く。金魚のPRとともに歩く楽しさ、沿道の風情も感じ取ってきてほしい。(智)