終戦記念日(8月15日)は過ぎたけど、…
終戦記念日(8月15日)は過ぎたけど、1945年のその日で戦争が本当に終わったわけではなかった。記憶に残すべき一つが「シベリア抑留」だ。
過酷な体験の記憶を絵画作品にとどめた二人のことを思う。共に故人である吉田勇さんと香月泰男さん。吉田さんが12歳若いが、体験は似ている。
吉田さんはアマチュア画家。大和高田市出身で家業の米穀商を戦後も続けた。一方の香月さんは山口県出身で、昭和を代表する洋画家の一人として知られる。
共に兵として満州へ。終戦になっても解放されず、ソ連で強制労働に従事した。帰国は1947年。引揚船でそれぞれ、京都府舞鶴市に帰還したのも同じだった。
抑留体験を基に、香月さんは「シベリア・シリーズ」という作品群を残した。また吉田さんの作品は約240点にも上り、遺族によって舞鶴引揚記念館に寄贈されている。
吉田さんの生誕100年に当たる昨年にも、同記念館で作品展が開催された。両氏の作品は見るのが苦しく、暗い世界だ。でも目をそむけず、戦争の記憶を風化させないために何度でも鑑賞すべきだ。(北)