民間信用調査会社の調べによると、企業倒産が今年に入り増加傾向だ。物価高での消費低迷、円安や原材料高騰分の価格転嫁が困難など理由はいろいろあるが、人手不足も要因に挙がる。

　需要はあれど人員が足りずに対応できず、利益を逃すことがあると、この頃よく耳にする。県内の宿泊施設でも、人手不足の傾向が稼働率に影響が出ていると聞く。

　近年、新卒者の売り手市場が続き中小、小規模事業者は人材確保で苦悩する。現有人員の維持でも気を抜けないらしい。

　働きやすく、従業員が誇りを持てる職場、会社づくりは、今や人の定着に不可欠。ここ1カ月だけでも選ばれる企業に向けたセミナー、認証取得への動きを、県内でも数々見てきた。

　利益が十分でなくとも大手の動きに合わせ、賃金アップを図らねばならない場面もあるようだ。人の確保に多岐に方策が必要な点で中小、小規模の企業経営者にはなかなか厳しい時代といえる。

　課題を克服し、発想豊かにまっとうに前進を試みる個々の力の衰えは、最終的には全体の力に及ぶ。企業人の苦労をひとごとと放ってはおけない。(智)