県立民俗博物館があす15日で展示を一時…
県立民俗博物館があす15日で展示を一時休止する。県民から寄贈を受けた大正から昭和初期の農具や生活品をはじめ収蔵品の保管場所が足りず、その整理などが理由という。
山下真知事は定例会見で「文化的価値がないものまで受け入れてきた」と従来の対応を批判。「価値のあるものだけを残し、廃棄処分も検討せざるを得ない」。
が、民俗に限らず文化財は、多数の資料の比較検討により体系的な研究が可能となる。当初は「がらくた」だった物が、後に新発見につながることもある。同博物館の収蔵品に無価値な物は一つもない。
とはいえ、保管場所に限りがあるのも事実。記録に残した上で最終手段として廃棄処分も仕方ないが、明確なルールが必要だ。
民俗資料に限らず埋蔵文化財や文献史料にも関わる問題。県には目先の利益ではなく、学術面を優先した価値判断を求めたい。
多数の文化財を持つ本県が安易な廃棄方針を示せば、同じ問題を抱える県内市町村や全国自治体の判断に影響を与えかねない。そうなれば山下知事は文化財の破壊者として歴史にその名を刻むだろう。(法)