金曜時評

裏金問題の堀井、佐藤氏 二人を問い続ける - 論説委員 甘利 治夫

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 国語力の問題なのか。

 

 「低頭して深謝」するとは、頭を低くして深く感謝あるいはわびる、という意味だ。そして誰に対してか。「総務・党員・国民」とあれば、総務という役職者であり、自民党県連の文書なので党員は自民党員となる。そして「国民」は党員であるなしにかかわらず、すべての人だろう。

 

 一連の政治資金裏金問題に関係する県選出の堀井巌参院議員が、会長が空席となっている党県連の会長代行で、その総務会が先月開かれ、冒頭に当事者である堀井氏と、同じく佐藤啓参院議員が陳謝した。問題の経緯と裏金とされる還元金の処理について説明し、自らの政治団体に寄付して収支報告を修正して計上した。そして「今後は政治資金の運用、会計処理、収支報告を適切に行う」と誓い、心から陳謝した。

 

 と、県連名で「総務会のご報告」文書を関係者に送り、そのなかに「両議員は、総務・党員・国民に対して低頭に深謝されました」とした。もちろん国民の誰も、両氏が「心から陳謝」したことなど知らないし、県内在住の党員も、欠席した総務の人でさえ「納得していない」と話す。当然だ。身内だけの他の目的とした会合で、あいさつ程度のことで「深謝」などといえるはずがない。

 

 傷をなめあっている当事者や仲間内では、問題にしたくないのだろう。しかし、4月の衆院補選で3選挙区すべてで立憲民主党に議席を奪われ、続く静岡県知事選や、欠員2の東京都議補選、その後の地方の首長選でも、自民推薦の現職が敗れたりしている。他の敗因もあるが、裏金問題や、政治資金規正法の改正を巡る及び腰を国民が見ているということだ。

 

 そんななか、今週初めに、党主催で「政治刷新車座対話」なるものが、県連事務所で開かれたが、これも「形だけのもの」と見抜かれている。他県では党総裁や、幹事長らが直接入っているが、奈良は松山政司党参院幹事長だった。出席者は井岡正徳県連幹事長ら議員が6人、ほかに女性局や青年局、農業関係者ら総勢18人の会合で、冒頭にはやはり裏金問題の陳謝があったという。

 

 各種世論調査で、国民の厳しい目は続いており、堀井氏らに向けた党員の見方は日ごとに厳しくなっている。本人らには聞こえていないようだから指摘している。裏金問題だけに絞った、質疑を受ける党員集会とか、多くの人に訴えるために記者会見を開くとかせねば、見放される日がくる。

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