自民全敗の次は? 政治の混迷が続く - 特別編集委員 北岡 和之
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衆議院の三つの補欠選挙で自民党が全敗した。同党の「裏金問題」に対する国民の厳しい批判から、ある程度は予想された結果。衆参両院での政治倫理審査会では問題の核心が何も明らかにならず、一部の関係者の「処分」で国民の怒りが収まるはずもない。
そろそろ地方から、つまり党県連レベルによる独自見解が出てきてもいいのでは。老婆心ながら、地域から党改革に向けた意欲をはっきり示さないと、今後の衆院解散・総選挙に向けて展望も開けないのではないか。もっと危機感を持った方がいいように思う。
一方の野党側も、それほどインパクトのある展望を示せているようには感じられない。政治状況的には、絶好の「政権交代」のチャンスと言っていいのだろうが、いまだに「野党が何をしたいのか分からない」などという声が聞かれるのはどうしたものか。県内においても、野党側の盛り上がりを感じることもほぼない。
何が問題か。推測だが、何が問題かが、政党(政治集団)側で分からなくなっているのではないだろうか。それは、国内的にも世界的にも、問題(課題)の核心の所在を把握し、展望することが難しくなっているからではないか。
現実についての私的な感想ということになるが、まずは「戦争」を思う。ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルとハマスの戦闘などを受け、日本はどう対応すべきか。明治維新から日本敗戦までの約80年、その敗戦から現在までの約80年。戦争の時代から戦争放棄を掲げる時代へと移った歴史を踏まえて、現在の問題を考えたい。現在起きている「戦争」や、中国や北朝鮮の動向などは、私たちに戦争に対する基本戦略の転換を強いるものなのかどうか。
「経済」ではどうか。高度成長時代が終わり、低成長時代をどう生き抜くかが課題とされる。米国は軍事力と金融を柱に転換を図ったがうまく行ったとは言えない。日本の「アベノミクス」も期待した成果はならなかった。生産と消費の構造転換が課題だとされるが、具体的にどうすればいいか。
戦争も含めた「政治」と「経済」の問題と来れば、次は本県にも関わりの深い「文化」。大昔は中国、近代は西欧の価値観が基盤だったが、現在は日本独自の文化・価値が求められる。今年のNHKの大河ドラマにそれを感じる人も多いのでは。外からの受容ではなく、「創出」という課題だ。
政治改革を進める視点としての課題を述べたが、どうだろう。