金曜時評

コロナ禍の総選挙口先だけかどうか - 主筆 甘利 治夫

 令和時代の行方を占う衆院総選挙は、いよいよ明後日の31日に投開票される。

 衆院選は政権選択選挙でもある。発足したばかりの岸田内閣の自公政権に対して、共産党と共闘する立憲民主党主導の野党連合政権に交代するのかが問われる。

 新型コロナウイルスの感染者が減少傾向にあり、少し落ち着きを取り戻してきたが、これまで繰り返された5波までの経験から、予想される第6波に向けた対策を、各党が公約の第一にするなど、医療体制の充実を訴えている。戦後の日本で、このような事態は初めてのことだけに、国民の最大関心事でもある。

 このコロナ禍によって、有権者の意識が大きく変わったことを知らねばなるまい。動くに動けないなかで、世の中の有り様を考える時間がたっぷりあった。何が本物であるかを見抜く力をつけた。耳当たりのよい言葉は、今回も目につくが、公約の一つ一つに対して「財政の裏付けはどうなのか」「本当にできるのかどうか」と、厳しい目で見ている。

 個人も企業も痛めつけられた経済に対し、実現可能な具体的な政策を示しているか。消費税論議も盛んだが、これも選挙目当ての言葉ではないかと、冷静だ。他国の例もあり、消費税の必要性は理解が深まっている。落ち着きをみせてきただけに、経済活動を再開して、もっと自由に動き回りたいのだ。同じく「分配」の言葉が飛び交っているが、その財源を示さねば納得しない。

 そして、これまで大事な問題でありながら、それほど論議されなかった「国の安全をどう守るか」が注目されている。公示に合わせたかのように、北朝鮮によるミサイル発射があり、中国とロシアの艦隊が合同訓練として津軽海峡、大隅海峡を通過するなど、安全を脅かす事態が起きている。さらに台湾を巡る情勢も緊迫の度を増してきた。安全保障は国民の暮らしそのものに直結する。かつてないほどの関心が深まっている。

 すでに期日前投票を済ませた人も多いと思うが、まだの人は、どのような政権に託すのかを決めて投票していきたい。

 県内3小選挙区でも、連日、舌戦が展開され、とくに1区は激戦だ。自公と野党統一、そして維新の3人の争いは、県議補選も絡んで激しさを増している。

 いずれも新人ではなく国会議員経験者だ。これまでにどんな仕事をしてきたか。政党と人物をしっかり見て選んでほしい。

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