奈良県弁護士会会長 馬場 智厳 世界平和への1年に - 新春随想
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昨年2月24日に始まったロシアによるウクライナへの侵攻は、戦況の変化を経つつも終わることなく今年に入り、もうすぐ1年を迎えようとしています。日々報道で流される戦地の悲惨な様子に心が痛みますが、事態は一向に終わりが見えません。
私自身はもちろん、私の両親も戦争を経験したことはありませんが、私のもう亡くなった祖父は徴兵されて数年間にわたり中国大陸や奄美群島を転戦しました。ある時、祖父が戦場での自分の体験を私に話してくれたことがありましたが、その話の内容は今を生きる私たちからは想像もできないものであり、戦争の辛さや惨めさを伝えるものでした。しかし、私の祖父の話と同じこと、或いはもっと酷い事が80年近い時を経てまたウクライナで繰り返されているのだと思うと、人はもう先の大戦の惨禍を忘れてしまったのだろうか、と暗い気持ちになります。
日本国憲法前文は、「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」と宣言しています。今この時代に、全世界の国民が平和のうちに生存するためにはどうすれば良いのか、私たち一人ひとりが考え行動する1年にしたいと思います。